LYNCSブログ

慶應義塾大学公認学生団体 宇宙科学総合研究会(LYNCS)のブログです。

下田合宿 2019 報告

はじめに

 12月14日〜15日にかけて、静岡県下田にて合宿を行いました。今回の合宿の主な目的は “ふたご座流星群” の観測です! しかもこのふたご座流星群の極大は15日(日)の午前2時ごろなので、丁度土日の合宿で極大を捉えることができました。なので後は、本当に天気が良いことを祈るばかりでした。まあ一つ重大な問題があったのですが……。それはまた後ほど。では、その合宿の模様についてこれから紹介していきたいと思います。

昼〜夕暮れ

 まず1日目、宿は素泊まりで予約していたので、伊豆急下田駅に到着した後スーパーへ食材調達しに向かいました。そんな食材調達やらをしていた午後3時ごろの天気ですが……とにかく風が強い! 雲は無かったんです。素晴らしい快晴でした。ただ本当に風が強い。カメラなどの機材の使用が無事にできるのか心配に思えるほどでした。まあ快晴ですから、そこまで気にするのは高望みなのかもしれませんが。

 そんな強風の中買い物を済ませたあとは、バスで須崎海岸まで移動し、宿に到着しました。そこから日が沈むまではしばしの休憩です。しかしずっと宿にいるのも暇なので、観測場所の下見がてら散歩に出かけたりもしました。このときは金星がとても明るかったので、日の入り前の散歩中にもはっきりと見ることができました。

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お世話になった民宿、浜屋さん

夜:観測1回目

 そして日が沈んだあと、午後6時ごろに、いよいよ1回目の観測です。この日は金星に加えて土星もよく見えていたので、それを望遠鏡で見ようということで観測を行いました。天気は変わらず快晴です! 金星、土星の他にも、カシオペヤ座やはくちょう座ペガススの大四辺形などもよく見えました。近くに明かりがあってもこれだけ見えるのですから、やっぱり都会の空とは違うなあと思わずにはいられません。ただ、相変わらず風も強いままで、望遠鏡を安定させることが難しく金星・土星を詳しく見ることは残念ながらできませんでした。そう全てがうまくいくようなことはないですね……。

夜:観測2回目

 1回目の観測が終わったあとは、夜中の流星群観測に備えて風呂に入ったり夕飯を食べたりして過ごしました。そして午後8時過ぎごろ、ついにふたご座流星群の観測に向かいます! その時の天気は変わらず快晴、しかも風もぴったり止んでいました! 風対策でだいぶ厚着をして行ったので暑かったくらいです笑。しかし先ほども言ったように、全てがうまくいくことなんてそうそうない……。夜空には一際明るく天体がありました。明るいと言っても並大抵の明るさではないですよ? あの全天一明るい星シリウスとも比較にならないほどの明るさです。そうです、月です。それも満月過ぎの! これがこの記事の冒頭で述べた、重大な問題です。なんとこの月、流星群の輻射点であるふたご座の上に一晩中居座って、朝になるまで沈まないんですよ……。本当に、月がなければと何度思ったことか。ですがこれに文句を言ったところで仕方ないのも事実です。*1

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とにかく明るい満月

 ということで、少しでも星や流星を見るためにまずはできるだけ明かりの少ない場所に移動しました。その移動の最中にももちろん星空を眺めていたわけですが……その時の出来事について少しお話ししたいと思います。明かりのない海岸へ移動するため山道を歩いていたのですが、その山道でも十分明かりが少なかったので暗い星座でも探してみようと思ったんです。例えばうさぎ座やきりん座と言った星座ですね。うさぎ座は見えそうで見えないぐらいのレベルだったんですが、きりん座は全く見えませんでした。星座を構成する星が全部4等星以下ですし、月が出ていたので見えないのは当然ですね笑。でも場所はすごく見つけやすいんですよ。1等星カペラと北極星の間の領域にありますから。そのきりん座の方角を見ながら「きりん座よく見えますね」「え?何も見えないけど?」「見えるじゃないですか。領域が *2」なんて会話をしていた時でした。なんと2つの流星がきりん座の領域にX字を描くように流れたんです! その領域は明るい星が何も無かったのもあり、尚更流星は明るく見えました。結局、観測を通して流星は数十個(!)見ることができたのですが、このとき見た流星が自分の中では一番のものでした。

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X字……ではなく、普通の流星の写真

 さて、海岸についてからは、カメラを持っている人は星空を撮影したり、そうでない人は寝転がって星空を眺めて流星を探したりして各々観測を楽しみました。ふたご座流星群輻射点に近いところでは、とても明るい流星あるいは火球と言えるほどのものが見られたみたいです。観測を続けているとだんだん雲が出てきてしまったので、午前1時ごろに撤収しました。

観測後+余談

 宿に帰ってからは、撮影をした人は写真の確認したり、暇な人はゲームをしたりして過ごしました。ところで星空の撮影についてなのですが、最近のスマホは随分高性能なようで、アプリを使って工夫すれば普通に星を写すことができるみたいです。正直これには驚きました。オリオン座の小三つ星もはっきり写っていましたし、流星の撮影にも成功していました。さすがに一眼ほどの表現力があるわけではないし、ノイズも出てしまいますが、スマホで星が写せるというのはすごいことじゃないですか?

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スマホでの天体写真(プレアデス周辺)

おわりに

 こんなところで合宿報告を終わりたいと思います。月が出ていたとはいえしばらく快晴の状態が続いたので、流星もたくさん見ることができ、とても良い観測合宿になったのではないかと思います。結果的にはとても満足しています! ここまで記事を読んでいただいた方、ありがとうございました!
(Hatsuki)

*1:来年のふたご座流星群は、月齢0の好条件で見られるそうです。

*2:現在の天文学においては、星座は「星と星を結んだ図形」ではなく、「天球上のある領域」のことを指す。にしても、「星が見えなくともその領域が見えてるからセーフ」というのは暴論である。